お届けさせて頂いた1500点を超える肖像画。数多くお描きした肖像画、お客様からのお褒めのお言葉、さらには感謝のお言葉、そして貴重なご意見、ご感想。教えて頂いた数々の大切なこと。肖像画を描くだけでは決して学べない、ご注文頂いたお客様と直接に、真剣に誠実にお話をすることでしか学べなかった分かりやすくて、気が付きづらかった事。そして誰も教えてくれなかった事。これらを踏まえて制作する肖像画品質とは。
ウイングエレガンスは、お客様に気に入っていただける肖像画をお届けすることはもちろんですが、末永く愛され続ける肖像画を目指します。肖像画はご本人に似ていることはもちろんですが、お顔について、例えばシワの一本一本を鮮明にとかシミ・ホクロの箇所等、ご本人が気になさっていると思われる箇所を克明に描写することはあえて致しません。お客様の身になって、お描きするお客様自身のお気に入りの表情、人生の中で一番輝かれている時期に思いを馳せ、綺麗なお肌の色艶、心温まる表情を心がけることで描かれる方の尊厳を重視します。肖像画として描き込むことの技術的重要性、描き込まない事の大切さ(思いやり)をわきまえた理想の肖像画表現。肖像画は代々後世に語り継がれるものでもあり、家系の証ともなります。肖像画(描かれた御方)が愛され続ける為に求められるもの、そこに肖像画としての大きな意義があると考えるからです。
“女性はより若くより美しく、男性は男前で立派なお姿に”を理想に、お届けするのは感動です。2度3度とご依頼を頂くお客様も多く、まさにお客様の専属肖像画家として大変ご好評頂いております。
九十歳のお祝いに描かせていただいたおばあちゃんの肖像画。それを見たある方が不思議そうに頬の箇所を指差して、ここはなぜ赤いのですか?と、お尋ねになりました。手元で見比べているご本人のお写真は普段の素肌(素顔)のままです。お化粧を施し口紅を付けてさしあげました。とお答えすると、ああっ、なるほど、と大変感心された表情で、肖像画にもう一度目を配り直し、若く見えますね、と一言。”(地方自治体ご依頼贈呈用油彩肖像画を前に担当部長との会話での一齣です。)
肖像画家は当然肖像画にお描きするお客様のメイクアップアーティストでもなければなりません。
行き過ぎたリアルさはややもすれば肖像画家の腕自慢、自己陶酔になりかねません。作家の発表の場である個展、公募展などでの技術披露、あるいは自己表現としての人物画とは明らかに似て非なるものです。
肖像画家が肖像画の主役ではありません。あくまでも描かれるお客様ご本人が主役です。肖像画家は主役を引き立てる脇役、熟慮した足し算、引き算を重ねた表現は、ご依頼いただいたお客様になるほどと納得していただける大人の肖像画。
お写真の内容、ご要望、ご依頼に至る背景をお客様とのコミュニケーションの中から充分に検証したうえで肖像画制作に入ります。これらの作業が肖像画を実際に絵筆で描く以上に、満足していただける肖像画をお届けするうえでとても重要なことと考えています。
肖像画の仕上げに際しては、ご依頼されるお客様はもとより状況によっては身近な周囲の方々のご意見も頂き、描かれる御本人のお人柄を最良な形で表情に盛り込み最終仕上げとなります。
単に究極のリアルさで言えば写真で済みます。しかし、ややこしいことに写真も時として平然とウソをつくこともあります。つまりその方らしさを、最適に写し撮っているとは限らないのです。そこが実に見落とされていた点です。重複するようですが、お客様とのコミュニケーションの重要性はそこにあります。
写真とは比較にならない油彩の持つ優美さ、存在感や堅牢さ、お気に入りの表情や、描かれる方のお人柄を最高の状態に、多角的に表現(表情)に盛り込めることが肖像画最大の特徴です。今後も引続き一生懸命に、お客様お一人お一人の暖かい想いが伝わる肖像画をお届けできるよう日々精進し、頑張って行きたいと思います。